現状維持
マンションの管理組合理事長に就任してみて、いやはや気疲れする役職だなというのが正直な感想です。これも慣れや割り切りが必要な役職だと思いますが、就任後4ヶ月経ち、夏バテも重なって最近はやや疲れを感じています。
内閣総理大臣のように投げ出すこともままならず、なんとか平常心で日々が過ごせるように、心の持ち方を工夫しようと思って過ごしています。
現役時代の仕事に取り組む価値観は「スピード」、「改善、改善また改善」といったことでした。最近気が付いたことですが、どうもこの価値観が私の中には自然に住み着いていて、これがストレスの一つになっているようです。マンション管理の仕事をこの価値観でやって成果を上げれば素晴らしいことですが、マンションは居住者全員の所有物なので、多くの課題は4分の3または過半数の賛成が得られないと実施できません。改革には必ず反対がつき物です。ゆっくりゆっくり賛成者を増やして行くしか解決の方法はありません。ましてや1000戸を超える住居がある巨大マンションで4分の3以上の居住者に賛成してもらうまでに理解を深める説明を徹底することは大変な仕事となります。
現役時代は「現状維持は退歩」だと自分を戒めてきたのですが、マンション管理ではむしろ「現状維持」こそが大切なのです。
高い管理費を払って、皆さん少なくとも表立っては満足して暮らしているので、何も波風を立てる改善はしなくても良いとも言えるのです。共有の資産が劣化しないように徹底的に現状を維持して行くことが先ず第一に大切な仕事です。
こんなことで、現役時代の感覚で見ると、改善したい課題は山ほど見つかるのですが、会社のように組織で動くのではないので、あまり感度よく改善事項を見つめない方がよいのかなと最近は思うようになりました。
現状維持に徹して、改善はゆっくり、ゆっくり機が熟すまで待つ。現役企業人には馴染めない価値観ですが、こんな価値観が自分の中に自然体として定着していることが必要そうだと思う日々です。
Posted by manchan | Permalink
この記事へのコメントは終了しました。
コメント